建築の原点は 《 土 》 から始まったと言っても過言ではないでしょう。
何故、 《 土 》 なのでしょうか?
それはどこにでもあり、一番簡単に手に入ったからだと思います。
しかし、この手頃な 《 土 》 は 防火 、 断熱 、 蓄熱 、 遮音 、 調湿 、等々を兼ねた優秀な建材 でした。
「 土には断熱効果が期待できない! 」 と仰る人もいるでしょう。
実際、数値的なモノではグラスウールの1/10しかありません。
しかし、 土壁の家は 「 夏は涼しく、冬は暖かい 」 と間違いなく感じられます。
これはきっと、 調湿のコントロール とか 蓄熱効果 、 浄化作用 などの条件が重なる事によって、そう感じられるのだと私は考えております。
ただ単に一つの数値だけを見るのではなく、相対効果も気にしていただけたらと思います。
また、土壁は機能だけの問題じゃなく、土壁の空間に居るだけで何故かホッとするのですよね。
これは数値で示せないのですが、土壁には人を和ませる何かがあるのでしょう。
それはきっと、土そのものが生命の源である事を私達が直感的に感じているからかもしれません。
土は大地であり、命の源でもある。
だから、 優しさ と 懐かしさ を感じるのでしょうね。
体にも心にも優しい素材である土は何処でも手に入りますが、 掘る場所によって性質や色は全然違うのですよ。
場所によって茶色かったり黄色かったり、赤、白、黒、緑などなど・・・
自宅の土地に埋まっている土を掘り、それを自宅の壁に塗るなんて事も可能で、自宅の土を使った仕上げなんて素敵ですよね。
そもそも、日本の建築は 《 木と土の文化 》 です。
土を使った日本独自の工法も発展していき、全国各地で採取される色土を使った美しい建築物が伝統文化として伝えられてきました。
この土壁仕上げを施工する前に行う重要な作業のひとつに 《 中塗り 》 という工程があります。
中塗りとは基本的には仕上げの前工程を指します。
この中塗りをしっかり施工しなければ、どんなに素晴らしい仕上げをやろうとしても不可能なのですよ。
また、色々な事情で仕上げを塗らずに 《 中塗り 》 でしばらく留めておき、何十年後に仕上げ塗りをしたくなってもそれは可能であります。
昔は中塗りを施工して、軽く2~3年はそのままで、木と土の収縮がしっかり止まってから仕上げ塗りをしたモノです。
しかし、現在の工期優先な風潮の中ではなかなかそこまで我慢される人は少ないですが・・・
そういう意味では昔の建築のほうがドッシリ構えられて良かった面もありますね。
普通の中塗りとは違い、 【 中塗り仕上げ 】 とは見せる為の仕上げ壁です。
土と砂と藁の表情をバランス良く美しく魅せる為の配合が大変重要 であります。
上塗りをする事が前提の 《 中塗り 》 とは違い、 【 中塗り仕上げ 】 では土と砂は好みの大きさで篩って使い、スサの長さにもこだわりたいです。
仕上げとして見せる壁なのに普通の 《 中塗り 》 と同じ配合では悲しすぎますよね。
土壁の基本中の基本である 《 中塗り 》 を仕上げとして見せる 【 中塗り仕上げ 】 も簡単そうに見えて、実は奥が深い仕上げですよ。
何年後、何十年後にどんな仕上げをするかワクワクしながら構想を練って、いつか来るであろうその時を待つのも良いかもしれませんね。
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