古い洋館の外壁でたまに見かけるのが “ モルタル掃き付け仕上げ ” 、別名 【 ドイツ壁 】 です。
凸凹の何とも味わい深い塗り壁仕上げですが、以外と歴史が古いのですよ。
大正末期に大流行した塗り壁仕上げらしいのですが、近年では滅多に見かけない仕上げですね。
私自身は施工経験がないのですが、経験者からお聞きした施工方法を簡単に説明すると以下の通りです。
《 モルタルを塗り付ける → 鏝板にモルタルを乗せる → 鏝板の上から壁に向かってササラでモルタルを掃き付ける 》
モルタルを掃き付ける際、出来るだけ面白みのある模様を作る為に手加減をしながら掃き付け量を調整するのがコツだと聞きました。
掃き付ける ササラ は、竹を20センチ前後に切って、それを幅3ミリ以下で切り揃え、束ねたモノ(直径3センチ前後)を使います。
昔は洋館を 【 ドイツ壁 】 で仕上げる場合、 《 堅瓦壁下地 》 の上に施工するケースも少なくないと聞きました。
《 堅瓦壁下地 》 とは 木ズリ の上に 平瓦(表面に節目があるモノ) を 麻を巻き付けた釘 で留めて、モルタルで中塗りをしたモノとの事です。
相当に頑丈な下地壁らしく、重量もあるので構造自体もかなりしっかりしたモノが必要だったのではと推測できます。
大正末期から昭和初期まで は 《 堅瓦壁下地 》 の上に 【 ドイツ壁 】 で仕上げるのが流行っていたみたいですが、現在では日本全国捜しても数カ所の古い洋館しか現存してないと言われ、実際に施工する機会が殆どない 《 堅瓦壁下地 》 は非常にレアで絶滅寸前の左官工法となっております。
時代の流れとはいえ寂しいですね。
左官屋さんでも 《 堅瓦壁下地 》 を聞いた事がある人は非常に少ない と思います。
実際に施工する機会はないかもしれませんが、大昔にこのような左官工法があった事を伝えていきたいモノですね。
味わい深い【 ドイツ壁 】 が見直されるよう、私達左官屋もドンドン提案していかねばなりませんね。
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