昔の古民家のように懐かしく、
落ち着きのある空間を演出する土壁。
そんな日常の風景の一部を創り出す、
左官職人の3か条とは。
左官屋にとってなくてはならないコテ。私たち左官職人はコテと一体となり、土壁を創ります。コテの種類は約2,000程。
地金、鋼などコテに使用する材料。そして本焼き、半焼き、油焼きといったコテの焼き方。その組み合わせによって完成するコテで塗ると、土の表情や材質が変わってきます。
それぞれのコテの良さを把握し、最大限に活かす場所を選定することで、コテが活躍するのです。
左官屋を営んでいる職人は、道具が好きな人が多いです。使い勝手はもちろん、見た目の美しさやカッコよさにもこだわっています。
さらに自分用の刻印をコテに打つことで愛着は何倍にもなります。
土は人為的に色を付けたわけではなく、「その色になるまでに何十万年かかって出来上がった」というストーリーがあります。
一般の人にも馴染みのある赤土。
その赤土でさえも真っ赤、オレンジ、薄橙など、一言では言い尽くせないほど種類があるのも、土ごとに重ねた場所も時間も違うから。
私たち左官職人はその土が持つ歴史を感じながら、土壁を創っているのです。
土への強いこだわりを持っているのは、マニアなほど土が好きだから。
そして壁や空間の表情を変えていくことができる材料だからこそ、その場によりそぐう土の種類をご提案します。
外壁、内装、ワンポイント、記念の手形。使いどころも異なれば、無限にある色の中から提案するので、こだわりをもって真剣に選んでいます。
人間、器用不器用は持って生まれたものだから変えることはできません。しかし「壁をきれいに塗りたい」という想いを持っていれば話は違います。
土を塗る際にどこに目をかけるべきなのか、果たして壁をきれいに塗ったところで、柱が汚れていては元も子もないのではないかなど、職人の気づきや心遣いが良い土壁を創ります。
“器用だから良い壁ができる“という考えは、正しいとは言えないのです。
土を塗るコテの種類、食いつき向上と割れ防止のための、すさと砂を土に混ぜる量、タイミングで土壁の色や表情は大きく変わります。
その全てを瞬時に把握し壁に塗る技術は、左官職人の長年の経験から得られるものです。
種類の多くある土とコテ、タイミングによって土壁の表情の変わる技術。毎回の現場が学びの場なので、一生修行と思い、技術を磨き続けます。
この3か条が揃ったとき、
土壁が新たな表情を覗かせます。
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